それよりも……



ラルフが私よりも早く起きるなんて珍しい。

今だ覚醒しない頭で、ぼんやりと考える。


ラルフが早起きをするのは、公務が早い時間からある時だけ。

そんな時は、いつも私を起こさないようにして出て行くのに。

ラルフが今ここにいるという事は、公務があるわけではないということよね…



一体どうしたんだろうか…と思いながら、体を起こせば―――



「シェイリーン、誕生日おめでとう。」

サッと目の前に差し出された、綺麗な花束。

薄紫の花でそろえられた花束を目の前に、驚きに目を瞬かせる。




「何で、私の誕生日を…?」

ラルフと花を交互に見つめ、半ば放心状態で問う。

ラルフに、自分の誕生日を言った覚えはなかった。

私の問いに、ラルフは少し焦った様子で、アリアから聞いたんだよ…と言う。




「アリアから?」

キョトンとして、ラルフを見つめる。

ラルフとアリアは、結婚をする前から仲が良い?みたいで。

会う事はないにせよ、連絡は取り合っているようだ。

この前も、アリアにしかしていないサロンの話が、ラルフに筒抜けだったし…

私の誕生日も、アリアから聞いたのだと言われれば、納得した。