「確かに、傷つかなかったと言ったら嘘になるわ。」
シェイリーンが静かに呟いた言葉に、やっぱり・・・と、更に表情を曇らせるマリナ。
そんなマリナに、安心させるように優しく微笑み、シェイリーンは言葉を続ける。
「けれど、あの噂を聞かなかったら、多分今の私はいなかった・・・。良くも悪くも、あの噂が私達の偽りの関係を終わらせる結果となってくれたんだから。」
それは、本当の事だった・・・
あの頃は、頭の端でラルフを好きなことを自覚していながら、その気持ちに気付かないふりをしてすごしていた。
自分にはそんなことを想う資格や権利すらないと思いこんで・・・
けれど、今になって思ってみれば、それはただ自分を苦しめていただけ。
後になって分かったことだが、ラルフはもうその頃から自分の事を好きだった、と言っていた。
お互い想い合っているのに動けないでいた状況に、変化を与えてくれたのは、まぎれもなくマリナの言葉。
その噂を聞いて、自分はラルフの事を好きな気持ちを認めたし、結果はどうあれ、行動することが出来たと思う。
「だから、マリナさんが気にすることではないわ。」
そう言って、シェイリーンは万人を魅了する笑顔で微笑んだ。

