偽りの結婚(番外編)




「ラルフ…良かった。シェイリーンさんが動けないようで。」

シェイリーンの隣にいた、ウィルがほっと安堵した表情でそう言う。



「あぁ。」

そんな事は分かっている…

カタカタと小刻みに震える肩と、濡れて体に張り付くプラチナブロンドの髪。

不安と雷への恐怖心で、心身ともに疲れ切っている様子が伺えた。


一歩一歩、歩を進めるごとに潤む瞳。

自分の名を呼ぶ以外に言葉を発しないのは、昨日の事があったからだろう。

怖くて仕方がないくせに、まだ涙を零さないのはウィリアムがいるから。




目の前まで来たところで、膝を折り、シェイリーンの体をそっと抱きしめる。

シェイリーンはビクッと体を震わせるが、抵抗はない。



「遅くなって、すまなかった。」

シェイリーンを抱きしめれば、冷たく冷え切った体に驚く。

震えているのは、雷にだけではなかった。



一旦、抱きしめていた体を離し―――


「寒かっただろう?これを着なさい。」

フワッ――――

自分の羽織っていたマントを、シェイリーンの体に羽織らせれば…