偽りの結婚(番外編)




首を横に振ることで応えたのは、それだけで精一杯だったから。

口を開いてしまえば、弱音が出てしまいそうで…



そして、そうなってしまえば、今耐えている涙まで零れてきそうだった。




「困ったな…どうしようか。」

眉を寄せて、困った様な表情を浮かべるウィリアム。

ウィリアム様は助けに来てくれたのに…

触れられたくない、触れたくないのなら、自分で立って歩くしかない。



けれど………



ピカッ………

ドンッ―――

むき出しの状態で感じる雷。

部屋の中で聞いているのと違って、自然の猛威を感じる。



「ッ……っふ……ぃゃ…ぁ…ラル…フ……。」

ウィリアムから見られないよう、俯き、小さな声で今はここにいない人の名を呼ぶ。

ラルフ………

助けて………

カタカタと震える手で、必死に自分の体を抱きしめていれば――――




「シェイリーンッ!」


今はここにいるはずのない、愛しい人の声が耳に届いた。