偽りの結婚(番外編)




「そうだったのか。僕にできる事はあるかい?」

ウィリアムが、心配そうな表情で覗く。



「…………。」



雷が鳴り響くこんな時―――

私の傍には、いつもラルフがいた。

ラルフがいて、雷から庇うように抱きしめてくれて。

広い胸に飛び込めば、頭や背中をさする大きな手。

耳元で“大丈夫だ…”と囁かれれば、心がほっと温まって。

雷への恐怖心も、少しは和らいだのだ。




けれど、こんなこと、ラルフ以外の男の人に頼めないし、されたくない。

しかし、雷は待ってはくれない。



ピカッ………

ドンッ―――――――



「ひゃッ……いやぁぁぁ!」

地面を揺るがすのでなないかと思うくらいの雷が落ちた瞬間、その場に座り込んだ。

両手で耳を塞ぎ、ギュッと目を閉じる。




「シェイリーンさん、大丈夫かい?」

ウィリアムも座り、伺うようにして覗きこむが…

弱々しく首を横に振る。