偽りの結婚(番外編)




「ちょっと待って。今、ラルフに君を見つけたことを知らせるから。」



そう言って、ウィリアムは、内側の胸ポケットから笛を取りだし―――

すぅ…っと空気を吸い込む。



そして……



ピィー……―――――



雨にも負けない音が、辺りに響いた。

命いっぱい吸った空気を、全て吐きだした後、ふぅ…っと一息つくウィリアム。

目を見開いてその様子を見ていた私に向き直って、ふっと笑う。



「君を見つけた方が、笛を吹く事になっていたんだ。」

そっか……

知らせないと、どちらかはずっと探し続けるからなのね…

自分のせいで、二人を巻きこんでしまったことに、しゅん…と項垂れていると―――



「さぁ、早く出口へ行こう。」

ウィリアムは私を通り越し、道を進んで行く。

その歩みに迷いはない。



「けど…ラルフは……。」

慌てて追いかけながら、ウィリアムに問いかける。



「アイツは一人でも出られるよ。それよりも君の体の方が心配だ。長時間雨に打たれていたんだからね。」


「分かりました…。」

きっと、さっきの笛の音で、ラルフも出口を目指すわよね……?

ラルフは、何回かこの迷路園に挑戦した事があると言っていたし…

今は、ウィリアム様と出口を目指すのが得策だわ。




そう思って、ウィリアムの背を追っていた時だった―――