偽りの結婚(番外編)




もしかして……


バッ……―――

「ラル……ッ…。」

呼びかけた言葉は途中で途切れる。

期待を込めて、振り返った先には、焦がれた人はいなかった。


そこにいたのは……





「ウィリアム様…?」


「ハァハァ……良かった…ッ…見つかって。」

呼吸を整えてこちらに来たのは、この国の王子、ウィリアムだった。



ラルフではなかったことに、多少、残念に思いながらも口を開く―――


「どうして…ここに?」

ウィリアム様は主催者なのに…

なぜ、この迷路園にいるのか不思議だった。



「ラルフが、まだ君が迷路園から出てこないと言ってね。二手に分かれて君を探していたんだよ。」


「そうだったんですか…。」

ウィリアムの言葉に、胸が熱くなる。



ラルフ………

やっぱり、来てくれた。

ラルフなら、きっと助けに来てくれるって信じてた。

ゴロゴロと、怪しい音を立てる空の下、一瞬だけ幸せな気持ちに浸った。