偽りの結婚(番外編)




ゴロゴロ――――


「きゃっ………。」

空がピカッ…と光った後に鳴った音に、小さく悲鳴を上げ、その場に座り込む。





レナードと別れて―――

雲行きが怪しいと思ったのは気のせいではなく。

暗くなった空は、どんどん雨雲になっていった。

遂には、雨も降りだし……



ゴロゴロッ―――

厚い雲の向こう側では、空が唸っていた。

まだ、雷が落ちるまでには至らないけれど、十分に恐怖を感じるこの状況。

特に、屋外ということもあって、いつもよりも恐怖が増していた。



「ぃゃ…………。」

胸に巣食う不安が、言葉となって零れ落ちる。

行けども行けども、同じ風景が広がる迷路園と、今にも落ちそうな雷。

冷たい雨を吸ったドレスが、立ち上がる気力を奪う。

雷が鳴り響く夜に、いつも傍にいてくれる存在は今はいない。



出口に行かなきゃ………


そう思うも、竦んだ足には一向に力が入らない。




生垣でつくられた迷路園の壁に寄りかかりながら、空を見上げる。

灰色の厚い雲の上で、ピカッ…と光る雷。

アレが落ちてきたら…と考えると、きっと、本当に動けなくなる。