偽りの結婚(番外編)




とんだ足止めをくらったな……



心の中で悪態をつきながらも、迷路園に近付いていると―――



ポツ―――――

曇った空から一滴の雨が、頬に当たる。



「やはり降って来たか……。」

ポツポツ…と地面に染みを作る雨に眉を寄せる。

急がなければ……



そう思いながら、歩を進めていると、目の前から歩いてくる見覚えのある男。

茶色い髪に、へらへらとした笑いが鼻につく……



「オイ、お前!」

名も呼びたくもなかった。

呼びかけに気付いた男、レナードはこちらへ向くと、明らかに表情を変える。



「ラ、ラルフ様…。」

へらへらとした笑みを向けながら、額には汗が浮いている。



「シェイリーンはどうした。」

一緒にいるはずのシェイリーンがいない。

レナードは、一人で迷路園の出口から出てきたのだ。



「あの…シェイリーン様とは中ではぐれてしまいまして……。」


はぐれた…だと?

一緒に迷路園に入っていて、はぐれたというのか?

ふざけるなッ……!