偽りの結婚(番外編)




「ねぇ…寄りを戻さない?ラルフ……。」

思った通りの台詞に、隠そうともせずに深いため息をついた。

もう、周りの目など気にしてられない。

どうせ、今は皆の注目は、今日の主役にある。



「腕を離せ、ガーネット。」

ワインレッドの瞳を見つめながらそう言えば…

社交界用の自分しか知らないガーネットは、焦ったように口を開いた。



「あ、あんな幼い子供よりも、私の方がずっと貴方を満足させてあげられるわよ?」

そう言って、ガーネットは腕に体を寄せるが…

こんな事をしても、自分を下げるだけだということに気付かないのか?



「放せ」

先程とは明らかに異なる低い声で唸れば、ビクッと震えるガーネットの体。



「ガーネット、お前と寄りを戻すつもりは毛頭ない。」

こういう者には、ハッキリと言ってやらねば分からないのだ。

その証拠に、ガーネットは、まだ引き下がらなかった。



「何故?私は、あんな子よりもずっと貴方の役に立てるわ!」


バシッ―――――

ガーネットの言葉に、自分の腕にまとわりつく腕を払った。

そして、地を這うような声をガーネットへ向ける。



「我が妻を侮辱するとは、聞き捨てならないな。」

自分の事をどう売り込もうが勝手だ。

しかし、シェイリーンを侮辱する事は許さない。