偽りの結婚(番外編)





「っ・・・!」

いつも目を細めて微笑むだけのシェイリーンだが、こうして時々、体全体で感情的に表現することがある。

けれど、そんなことはめったにない。


シェイリーンの笑顔にすら免疫のないラルフ。

今すぐ抱きしめて、口を塞ぎたい衝動が襲うが・・・何とか踏みとどまる。



そんなことをしてしまえば、やっと戻ったシェイリーンの機嫌がまた悪くなりそうだ。

それに、もうすぐ冷静になったシェイリーンが慌てふためいて自分から離れるはず・・・




「っ・・ごめんなさいッ!私ったら、こんな場所で・・・。」

ほら・・・

今の状況を思い出したように距離をとるシェイリーンに、クスクスと耐えきれない笑みがこぼれる。



「いや、君から抱きついてくれるなんて嬉しかったよ。」

ニコリと、シェイリーンにしか見せない笑顔で微笑みかけば、ほんのり赤くなり、ばつの悪そうな顔になるシェイリーン。



「ほら、行っておいで。ずっとここにいては、僕がソフィアから睨まれる。」

言っている間も、ソフィアが呆れたような視線をよこす。