偽りの結婚(番外編)




「ッ……そんなこと……。」

否定も肯定もせずに言葉は途切れる。



「そうよ!レナードと行ってくれば良いわ。」

レナード……?

聞き覚えのない名に、疑問符を浮かべていれば…



「この人よ。」

そう言って、ガーネットが腕を引いたのは、ガーネットの婚約者だった。


少し長い茶色の髪の毛に、琥珀色の瞳。

口元に湛える緩やかな笑みは、甘いマスクと相まって、令嬢たちに好かれそうな容姿をしていた。

目線を合わせると、フッと微笑み、会釈する。

慌てて、私も会釈をすれば、ガーネットがすかさず口を開く。




「レナードは何度もあの迷路園に入った事があるから、ブーケを貰えるかもしれないわよ?」

「ッ……ちょっと待て、ガーネット。」

ガーネットの提案に、反応を示したのはラルフ。

すごい剣幕で、ガーネットを睨みつけている。



しかし、ガーネットは、ラルフの機嫌など気にもとめず…


「あら、いいじゃない。レナードも久々に迷路園に入りたいと言うし。そうでしょ?レナード。」

「あぁ、楽しみだ。」

レナードが微笑む。

ラルフ以外の男の人と二人きりになるのは嫌だけど…

レナードさんはガーネットさんの婚約者だから、大丈夫よね。