偽りの結婚(番外編)




人々が迷路園に足を向けるのを、ただ傍観しているのみ。

この様子じゃ、挑戦する気もないのだろう。


ラルフにお願いしてみようかしら……

躊躇いがちに口を開こうとしていた時だった―――



「ラルフ!」

人混みの中から、こちらに寄って来る一組の男女。

声を掛けた女性の方は、今日も目のやり場に困る様なドレスを身に纏っている。

その豊満な体を魅力的に見せるのは、肩のあいたイブニングドレス。

髪をアップにしている事で、女の色香が放たれているようだった。



「ガーネット……。」

ラルフが、その女性の名を呟く。

名前を呼んだだけなのに…何故かもやもやする……

すぐ目の前まで来たガーネットからは、ふわりと香る香水の匂い。



なんで…私はダメなの……?

ガーネットを前にすると、何故か昨日の疑問が頭によぎる。

ガーネットさんは良くて、何で私だけ…




「貴方達もアレに挑戦するの?」

無意識に俯いていた頭を上げて、ガーネットが指す方向を見る。

その先には、迷路園の入口に並ぶ人だかり。