偽りの結婚(番外編)




「ラルフ、行ってきて良い?」



不安そうに揺れる瞳で見上げて、シェイリーンには珍しい“おねだり”をされる。




「っ・・・!」


卑怯だ・・・・

そんな顔で見つめられて、断れる夫がどこにいる。


本当は一歩だって離れたくなどない。



・・・けれど、こんなに可愛くお願いされてしまっては、断るに断れない。

内容が内容だけに。

妃となって、窮屈な王宮生活を強いているのだから、久しぶりに会う友人との時間くらいは与えてやりたかった。



「あぁ、行っておいで?」

独占欲を抑えたポーカーフェイスで優しくそう言うと・・・


「ありがとう、ラルフ・・・ッ!」

満面の笑みで微笑み、ギュッと抱きつかれる。