偽りの結婚(番外編)




「君はまだ子供だろ。」

依然として、駄々をこねる子供をあやす大人の様な話し方をするラルフ。



それが、やけに気に障った。

女性たちに指摘された時は、素直に自分が子供だということを認めたくせに。

ラルフに言われると、苛立ちにも似た不安と焦燥感が襲うのだ。




「香水…付けてみようかな……。」

会話の流れに全く関係のない事を、ポツリと呟く。



「香水?なんだ急に…。」

ラルフが訝しげな声を上げる。




「香水付けて、化粧をして、ガーネットさんの様なドレスを着たら、私も大人の女性になれるのかな……って。」

昼間のガーネットを思い浮かべる。

体のラインが綺麗な赤いドレスに身を包み、ふわりと香る香水は、まさに大人の女性。

大人の女性になるには、まずは外見からよね。

ラルフの好みの女性になれるよう、頑張らなきゃ…と、意気込んでいた時だった。




「君には、香水は似合わないよ。」

「え………。」

ラルフの言葉に、冷水を浴びせられたように、笑顔が消える。




「化粧もドレスも今のままで良い。ガーネットの様なドレスはまだ君には早い。」


まだ早い……?

私はラルフの好みの女性に近付きたいの。

それなのに……ラルフは何も分かってない。