偽りの結婚(番外編)




熱い………

ラルフに囁かれた左耳と頬が熱を持っている。


お仕置きって何よっ……!

…と、思いながらも身に覚えはある。



あれは、ウォール侯爵家の晩餐に招待された日の夜の事。

王宮に帰るなり、ベッドに組み敷かれて…


『あんな笑顔、他の男に見せるな。』

『煽るのは、僕だけにしてくれ。』

なんて、よく分からない事を言われながら“お仕置き”と表され、ヒドイ事をされたものだった。

お陰さまで、翌朝は腕と足が悲鳴を上げて、ずっとベッドの中だった。



愛されるのは嬉しいけど、あんなに激しく抱かれたら、明日の結婚式に出られないのは確実。

男の人と話さないようにしなきゃ……




「相変わらず嫉妬深いのね、ラルフは。」


「え……?」

ガーネットが呟いた言葉に、一気に熱が冷める。

その言葉の意図を確かめようと、口を開こうとしたが……


「シェイリーン様、私たち感動致しましたわ!」

「ラルフ様のあんな甘い笑顔を見られる日がくるなんて!」

ラルフが離れた途端、寄って来た女性達に囲まれた。



「皆さん、シェイリーンさんが困っているじゃないの。」

ふふっと笑うガーネットは、先程と同じ表情。



気のせい…よね……?

僅かに残る、胸のしこりを無視して、興奮気味に話す女性たちに応える。