偽りの結婚(番外編)




「お久しぶりです、ラルフ様。」

声を掛けてきたのは、ラルフよりも少し年上に見える男性。

しかし、相手が一国の王子ともなれば、年齢など問題でない。

今までだって、随分と歳を召した人達が、ラルフに跪く所を見てきたし。



「これは、ヴィヴィアン公。ご無沙汰しておりました。」

社交界用の笑みを見せるラルフ。

しかし、これに応えたのは男性ではなく…



「ラルフ様、その女性は誰ですの?」

男性の恋人、もしくは妻であろう女性が、ズイッと前へ出る。

ラルフの隣にいる私の事が、気になって仕方がない様子だった。

ホールにいる皆が、私達のやりとりに集中している。



きっと、皆私の存在が気になるのね…

ラルフが答える瞬間を緊張の面持ちで待っていれば―――

グイッと腰を引き寄せられ…


「僕の妃だ。」

先程とは違う笑みを見せるラルフ。

もぅ…っ…こんな紹介の仕方しなくていいのに。

頬を赤らめて、居た堪れない気持ちになる。


しかし、呑気に顔を赤らめてもいられない。