しかし――――
「いいや、シェイリーン。君はウォール侯爵家の人間と前に一度会っている。」
ラルフは、真っ向から否定する。
前っていつだ……?
ラルフと結婚する前は、公爵家と縁があるような家柄でもなかったし。
結婚後は、シェイリーンがウォール侯爵家に行った記録というのもない。
不思議に思いながら、答えを知っているであろうラルフの言葉を待つ。
「仮面舞踏会で君が踊った相手。あれは、ウォール侯爵家の子息だ。」
「ッ……あの方が!?」
仮面舞踏会……?
なら、分かるわけねーか。
あの時、俺にはシェイリーンが分からなかったからな。
「ウォール侯爵家のご子息だったのね…。」
「あぁ、そうだ。」
驚くシェイリーンに、益々眉間にしわが寄るラルフ。
おっと……これはマズイな……
「仮面舞踏会で会ったのか?」
無理やり笑みを浮かべながら、シェイリーンに問う。
しかし、これがマズかった……

