偽りの結婚(番外編)




「ウォール侯爵家から晩餐のお誘いとは久々だな。」

宰相が出て行ったのを確認して、ラルフに話しかける。



「あぁ、前に行ったのは半年以上前だ。」

ムスッとして答えるラルフは、やはり機嫌が悪い。



「何でまた晩餐の誘いなんか。あそこには娘もいないはずだが。」

こうして晩餐の誘いがある時は、大抵、ラルフに娘を紹介したくて開く者が多い。

けれど、俺の記憶では、ウォール侯爵家には、娘はいなかったはずだ。

確か、俺たちと歳が近い息子が一人だったような……



「あぁ、ウォール侯爵家は子息が一人だけだ。」

「じゃぁ、何で晩餐の誘いがあったんだろうな。」

ラルフの言葉に、更に疑問は深まる。

一層不機嫌な顔をして口を開いたラルフは……




「あちらが会いたいのは僕じゃなくシェイリーンだろう。」

「え?私……?」

ラルフの言葉に、今度はシェイリーンが反応する。



「なんでシェイリーンなんだ?」

今まで、ウォール侯爵家とは関わりもなかったはず。

それが、何故むこうからシェイリーンに会いたいと言うのだろうか。



「そうよ、私ウォール侯爵家に知り合いはいないわ。」

シェイリーンも、同意する。