偽りの結婚(番外編)




「それは、分かっております。」

「ッ……!」

そう言って、俺たちも見た事のない様な穏やかな笑みを浮かべる宰相。

その穏やかな笑みに、俺とラルフは一瞬目を疑った。



宰相がこんな風に笑うところなど初めて見たぞ?

いっつも小皺が出来るくらい眉を寄せて、難しい顔をしているくせに。

これもシェイリーンの影響ということか。


本人が思っている以上に、シェイリーンは皆に受け入れられている。

シェイリーンの真っ直ぐな所、純粋さ、健気で頑張りやな所を見ていると、周りも応援したくなるのだ。

ラルフの目も節穴ではなかったことか…と宰相たちに感心までさせたくらいだ。



まぁ、本人はそれに気付いてはいないが…

「い、今帰りますから。」

腰に回されたラルフの腕を離しながらそう言うシェイリーン。



「いいえ、いいんです。ちょうどお二人にお話がありましたので。」

それを静かに制止させる宰相。



「え……?」

これにはシェイリーンも驚いている。



「話とは何だ?」

ラルフが、立ち上がりかけていたシェイリーンを再び自分の腕の中に引き寄せながら、宰相に問う。

ちょっ…ラルフッ!…と、宰相の前で後ろから抱きとめられ、シェイリーンは真っ赤だ。