偽りの結婚(番外編)




それでも、あの時――――


ラルフの方からシェイリーンを追ったのは、ラルフにとってシェイリーンが唯一の人となっていたからだろう。

だから、シェイリーンが再び帰って来てくれた時は安堵した。

シェイリーンのいないあの一週間、ラルフは廃人になりそうだったからな。



仕事に厳しいラルフも、執務中は上の空。

いつもはしないミスをしたりして、周りを驚かせていた。


まぁ、それ程して手に入れた“姫”だ。


一時でも離れたくないのは分かる……

けれど、ラルフの執着心と独占欲は、もう依存と言ってもいいレベル。



全く……シェイリーンもこんなのが旦那で可哀想だ。


溜息をつくが、本人達は幸せそうなので放っておく。




「シェイリーンがここに来るなんて珍しいな。」

そう言いながらも、とても嬉しそうな顔をして部屋に招くラルフ。

ラルフは、俺がいた長テーブルの所へ移動し、シェイリーンを隣へ座らせる。


俺の資料は見事に、脇へ押しやられた。

暫く、仕事は中断しそうだ。

まぁ、仕事に飽きていた俺にとっては、ラルフに睨まれずサボれるなどありがたいが。



「午後のスケジュールは大丈夫なのか?」

不思議になって聞いてみる。

今日の朝、モニカが、シェイリーンのスケジュールは今日もいっぱいいっぱいだ…などと嘆いていたのが印象的だったから。