偽りの結婚(番外編)




「書庫には一人で行くから、ついて来ないでね!」

「分かっております。」


いつもの台詞に、クスクスと笑いを堪え切れない。

シェイリーン様は、王子の妃と言ってもまだ日は浅いから…

多くの人に囲まれる生活に、息苦しさを感じるのは当然の事。

だからこそ、お一人になれる時は、お一人にして差し上げたい。

王宮の外に出ると言うのならば別だが、書庫ならお一人でも安心だから。




「では、私は下がります。」

そう言って、寝室を出ようとした時―――



「えぇ、モニカもゆっくりしてね。」

ふわりと笑うシェイリーン様。



「ッ……はい。ありがとうございます。」

つられて、笑顔になる。

シェイリーン様は、ご自身が一人になることで、私達侍女にも時間を与えてくれる。

こんなシェイリーン様の優しいところに、ラルフ様も惹かれたのね。



そうだ…今日は仕立屋さんにも寄ってみようかしら。

これじゃ、リエナ様やラルフ様と変わらないわね。

クスッと笑いながらも、頭の中は、シェイリーン様に似合いそうなドレスを浮かべる事でいっぱいだった。


そして、城下へ行くために、王宮を後にした―――