偽りの結婚(番外編)




「わかりました。私が行きます。」

溜息交じりにそう言えば、パァ…っと、まるで希望の光が見えたと言わんばかりの表情をされた。



あぁ…これでまた私の仕事が繰り下がるわね……

心の中で嘆きながらも、各自の仕事につく侍女たちを見送りながら、主の寝室へ足を向ける。


私は、シェイリーン様付きの侍女としてお仕えしているけれど…

本来ならば、部屋の掃除やシーツの取り換えなどは、見習いの仕事。

どちらかと言えば、シェイリーン様がその日着るドレスを選んで用意したり。

スケジュールを組んだり。

シェイリーン様付きの侍女としてしか出来ない事が私にとっての仕事。



けれど、こればっかりは仕方ない……





主の寝室の扉の前について、何度目か分からない溜息をつく。

けれど、これも侍女の仕事ではある。

主の前では、こんな姿も見せられない。

…決して、シェイリーン様が嫌いなわけではないから。



「よしッ……!」

気合を入れて、すぅっと息を吸い込む。

そして、意を決して寝室の扉を叩いた。