偽りの結婚(番外編)




「忘れられるわけないだろ…ッ。」

寂しさに慣れる覚悟なんてしなくていい。

寂しいと言った言葉を忘れる必要もない。



「寂しいと言って迷惑などと思ってはいない。だから、忘れてくれなんて言うな。」

忘れたら、その想いはどこへ行く?

寂しさは一人ではうめられない。

それを、君は一人で耐えるというのか?

切なさで胸に痛みが走った事を感じながら、更にシェイリーンの体に回した腕を強める。




「けど……私が寂しいって言ったらラルフはどうする?」

「もちろん、すぐに駆けつける。」

ポツリと呟いたシェイリーンの言葉に、すぐさま返す。



「私は、私が原因でラルフの仕事に負担を掛けてしまうのが嫌なの。」

そんな事を考えていたのか…

シェイリーンらしいと言えば、シェイリーンらしい。



しかし――――

「僕は君が寂しい思いをしている方が嫌だ。」

自分の中心はシェイリーン。

そのシェイリーンが寂しい思いをしているなど耐えられない。