寝ていてもおかしくない時間帯に、シェイリーンは起きていた。
ベッドの上で膝を抱えるようにして…
まるで眠る体勢ではないその姿に違和感を覚えたものの、シェイリーンは「眠れなかっただけ」の一点張り。
疑いはしたものの、深く追求しなかった事を、今更ながらに後悔する。
いや、追求したとしても、シェイリーンは喋らなかっただろうな。
自分の事より、相手の事を想って我慢するシェイリーンだから。
膝を抱えて自分を待ってたあの光景……
あれは、間違いなくシェイリーンの想いそのものだった。
それに気付けなかったのは失態だ。
後悔に顔を歪めていれば―――
「ラルフ………?」
エメラルドグリーンの瞳が不安げに揺れながら、おずおずとこちらを伺う。
顔を覆っていた手を離せば、無理をして笑顔を張り付けたシェイリーンがいた。
「あ、あの…さっき言った事は忘れて?あんなに貴方に会わなかったからそう感じてしまっただけかもしれないし。今回の事で私も覚悟は出来たから。だから、私の事は気にしない…きゃっ……!」
あらん限りの力で、シェイリーンの体を抱きしめる。
女であることも、折れそうなほどに細い体であることも忘れて………

