偽りの結婚(番外編)




「ちょっと待った!」


もう、限界だ……



「………?」

いきなり声を上げて、会話を中断させた自分に、シェイリーンが顔を上げる。


「参ったな……。」

まだ涙の残るエメラルドグリーンの瞳に見上げられ、追いつめられた。

今はその純粋な瞳に見られなくて、顔を手で覆う。



かつて、あれほどの女性と関係を持ち、扱いには慣れているはずだった。

そして、そこには甘い胸の高鳴りも、相手を欲する貪欲な想いもなかった。



しかし、今はどうだろう……

心臓に手を当てれば、バクバクと大きく鼓動を打ち。

頬に集まる熱は、間違いなくシェイリーンがもたらしたもの。

今まで関係を持った女性達が、美しくなかったわけではない。

むしろ、容姿は申し分ないと言われてもおかしくない女性ばかりだった。


けれど、この感情を与えてくれたのはシェイリーンだけ。


初めて守りたいと思い。

初めて愛し抜きたいと思った女性。

人を愛する事の喜びを感じさせてくれたのは、シェイリーンだった。