偽りの結婚(番外編)




「まぁ!呆れた旦那様だわ。」

シェイリーンの事になると、一歩も引かないラルフに、最初に折れたのはやはりソフィアだった。


「今の貴方を、昔の女性たちに見せたらきっと卒倒するわね。」

ソフィアはそう言って、横目で周囲を見る。

その視線を追って不安そうにするシェイリーン。


余計なことを・・・

ラルフは心の中で悪態をつきながら、ソフィアを見据える。



「昔の女とシェイリーンを一緒に出来るわけがないだろ。」

ホールにいるだろう昔の女たちを探すシェイリーンを身体ごとこちらに向かせ、ソフィアに言う。


「それはそうですけど、ちょっとは加減と言うものをしていただかないと。シェイリーンさんが疲れた顔をしているわ。」

シェイリーンを抱き込んだ自分を、呆れた目で見つめるソフィア。


「シェイリーン、どこか具合が悪いのか?」

対するラルフは、“疲れた”という単語に激しく反応する。