偽りの結婚(番外編)




「なら良いが。」

まだ疑いの眼差しが抜け切れていないが、一応は分かってくれたようだ。



「まだ夕食までには時間があるんだから、ゆっくり入って来て大丈夫よ。」

“ゆっくり”を強調して、ラルフにそう言えば…


「分かった。先に入ってくるよ。」

やっと納得したラルフが、先にバスルームへ入って行った。


よし……今のうちよ……!

ラルフがバスルームへ行ったのを確認して、食堂へ駆け込む。



「良かった…見つかっていないみたいね。」

冷蔵庫に奥に入れてあったケーキの材料は、昨日押し込んだままの位置にあった。

ラルフに見つかっていないことに、ほっと安堵する。

そして、奥の方に押し込んだスポンジの生地を取り出す。


「あとは、これを型に流して焼くだけ。」

型はこの離宮の食堂にあった型を使う。

スタンダードな丸い型へ生地をそそぎ込めば、ワクワクと心が躍った。

生地が入った型をオーブンに入れ、出来上がりまでセットする。