偽りの結婚(番外編)




「どこに行くんだ?」

寝起きとは思えないほど明瞭な声が上から降る。

声のするままに見上げると、やはり清々しい顔のラルフ。



「お、起きていたの?」

ラルフが自分より早く起きていたことに驚く。

普段は、必ずと言っていいほど、ラルフの方が遅く起きていたから。



「あぁ、数十分前にね。」

ニッコリと笑うラルフの手が髪に触れ、優しく梳かれる。

それを大人しく受け入れながら、ラルフの胸の中で肩を落とす。


今日は早いのね…なんて言おうと思ったけれど、外を見れば、少し遅めの朝を迎えた事が分かる。

今日は私の目覚める時間の方が遅かったようだ。

これで、予定は狂った。


スポンジ……どうしよう……


夜までに、まだチャンスはあるわよね?




少し不安だが、そう考えながら、再び心地良いラルフの胸の中に体を預けた―――