偽りの結婚(番外編)




それくらい、シェイリーンの腕の中は心地良かった。


しかし……

「やっぱり、これは少し不満だな。」

ふっと笑いながら、改めて自分の状況を見る。

シェイリーンよりも頭の位置は下。

抱きかかえられるように背中に回されたシェイリーンの手。

全てがいつもと逆だった。



「やはり、こうでないと。」

シェイリーンの体を覆うようにしていた体を、上半身だけ起こし、両手をついた間に、まだ夢の中のシェイリーンを囲う。

すやすやと気持ちよさそうに眠るその姿は、愛おしい者以外の何ものでもない。

その滑らかな肌触りの頬を撫でれば…


「んっ……ラル…フ…。」

夢の中でも自分の名を呼ぶ。


「全く……。」

溜息と共に、笑みが零れる。

こんなにも心を掻き乱す存在はシェイリーン、君一人だけだ……