皆の視線が集まる中、ホールを進むと、一際目立った存在の女性がこちらを見て、嬉しそうに近付く。
「ラルフ、シェイリーンさん!」
今日の彼女は、金色の髪をふんわり立て巻きにして、真紅のベルベットドレスを見に纏っている。
「ソフィアさん!」
この国の姫でもあるソフィアを捉え、シェイリーンはみるみるうちに笑顔になる。
まさか、ソフィアにシェイリーンの笑顔を取られるとはな・・・
ソフィアの顔を見た瞬間、笑顔になるシェイリーンに、面白くないような顔をするラルフ。
一方、周囲の招待客たちは、元恋人と妃との修羅場か!?というような目を向ける。
固唾を飲んでシェイリーンとソフィアの動向を様子見していたようだが、当の本人たちは、久しぶりにあった友人のようにはしゃいでいた。
いや、実際に友人なんだが。
二度目の結婚式以来、お互い交流があるようで、最初こそソフィアの事を“様”付けで呼んでいたシェイリーンだったが、今ではだいぶ距離も縮まったようだ。
「シェイリーンさん元気だった?」
ソフィアがシェイリーンの手を取りながら問う。
すでに、自分はアウトオブ眼中のようだ。

