偽りの結婚(番外編)




その姿に、胸がきゅーっと締め付けられ、次の瞬間には体が動いていた。

自分よりも少し上にあるラルフの首に腕を回し、自らラルフに抱きついた。

そして、ラルフの首元に頭をうずめ、口を開く。



「お願い……ラルフ。」

首元でそっと呟けば、大きな体がビクッと震え、「シェイリーン?」と掠れた声で呼ばれる。

咄嗟に引き離そうとするラルフの力に、そうはさせまいと、回した腕にキュッと力を入れた。


ラルフは何も分かっていない。

私がどれだけ心配しているかなんて…

いつも自分の事は二の次にして、私を優先するから気付かないんだわ。

私にだって心配する権利はあるんだから。



「明日もあるし……ね?」

子供に言い聞かせるようにして促せば、ラルフの体から力が抜ける。



「分かったよ……。」

引き離そうとする手も、諦めたように離される。


良かった……


ラルフが素直に受け入れてくれたことにほっと安堵する。