煌びやかなシャンデリアと、色とりどりの料理。
その輝きと色彩に負けないほど美しく着飾った男女が埋め尽くされるホールは、これから始まる舞踏会に期待してか、異様な熱気に包まれていた。
ラルフとシェイリーンが一歩踏み出すと、静まり返るホール。
一方で感嘆の溜息が零れ、一方では鋭い視線を送る者もいた。
途端、俯いて床ばかりを見つめるシェイリーンに、ラルフは優しく声を掛ける。
「シェイリーン、大丈夫だ。僕がついている。」
「えぇ・・・分かってる。」
そう言って、シェイリーンは笑顔を作る。
その笑顔は、無理をしている時のものだった。
「・・・・・。」
本当は、シェイリーンにこんな笑顔をさせたいんじゃない。
こういった公式の場が苦手なことは知っていたが、将来、我が国の王妃となる日は近い。
シェイリーンと共に歩みたいからこそ、今慣れてもらわねば。
シェイリーン自身もそれが分かっているから、公式の場に招待されれば、断りなく参加している。
全ては二人が一緒にいるため。
それは言わずとも、心の中で繋がっている二人の共通の想いだった。

