偽りの結婚(番外編)




背中を押されるがままに、食堂から遠ざけられる。


「わかった。君に任せるから…。」

何故かは分からないが、シェイリーンは一人で食事の準備をしたい様子。

一から料理をするとなると、一人では面倒だが、料理はすでに出来ており、後は温めるのみ。

ならば、ここは素直に引いてシェイリーンの言われた通り髪を乾かして待っておくのが得策だろう。



なぜなら、ほら……

食堂へ行こうとする自分を、細い腕で阻止しようとするシェイリーンに阻まれるから。

下から睨み上げられても、可愛いとしか言いようがないんだが……

その可愛い視線をクスクスという笑い声で受けとめ、ソファーに掛けてあったあるモノを取る。



「これを着て行くんだ。」

そう言ってシェイリーンに羽織らせたのは、温かそうなショール。

折角の二人きりの旅行に風邪を引かれては困るからね。

長いショールを前で結べば、シェイリーンは「ありがとう」と笑う。


ドキッと心臓が跳ねたのは言うまでもない。



「すぐに用意するから、待っていてね。」

そう言って、パタパタと食堂の方へ走っていった。