偽りの結婚(番外編)




一部の令嬢たちからは認められつつあるシェイリーン。

なんでも、それは王宮で働く使用人たちから発祥した話が元らしい。

今まで王宮に女を連れて来なかった自分が、シェイリーンは傍に置いていると。

しかも、シェイリーンと離婚した時に追いかけて行ったのはラルフの方で、頑なに拒むシェイリーンから漸く承諾を得たと言う噂が流れているらしい。


最初は、皆信じていなかったらしいが、ノルマン家の兄妹が嬉しそうにシェイリーンの幸せを語って聞かせていることから、誤解は解けたようだ。



それにしても、だ。

見ていてわからないのか?

ラルフは、令嬢たちの陰口を聞いて思う。



見せつけているようにして抱きしめているのは自分だと。

日々、大人の女になっていくシェイリーンを引き止めるのに必死なのは自分の方だと。


これも、自分が蒔いた種だとは分かっているが。




時間はある・・・

シェイリーンの事を愛していることは、ゆっくりと証明していくさ。

周りにも、そしてもちろん、シェイリーン本人にも。

ふっと不敵な笑みを見せるラルフ。

横にいたシェイリーンと、周りの令嬢たちが身震いしたのは言うまでもない。