偽りの結婚(番外編)




「ラルフ、上がったわよ。次どうぞ?」

濡れた髪をふきながら、リビングに戻れば、すでに見回りの終わったラルフがソファーに座っていた。



「ッ……あぁ。屋敷にも異常なかった。」

振り返った瞬間、軽く瞳を見開いたラルフだったが、何でもなかったように話しだした。



「ついでに施錠もしてきたから、安心していい。」

「ありがとう。」

ふわりと安堵の笑みを浮かべれば、珍しくラルフの頬が赤くなる。



「……どうかした?」

自分を見つめたまま動かないラルフに、おずおずと声を掛ける。

すると、ハッと我に返ったように視線を逸らし、立ち上がる。



「いや、何でもない。ちょっと、頭を冷やしてくるよ。」

そう言って、ラルフは足早にバスルームへ向かった。



おかしなラルフ。

お風呂は温まるものなのに……

ラルフの想いなど露程知らず、シェイリーンはラルフを見送った。