偽りの結婚(番外編)




「なら、早く行っておいで。」

距離を取ったところ、ラルフに背中を押される。

それが、少し寂しいと後悔したのは気のせいだ。



「分かりました。気を付けてくださいね。」

見回りに行くラルフの背に向かって、声を掛ける。



「分かってる。バスルームの鍵はちゃんと閉めるんだよ?」

「はい。…じゃぁ、また後で。」

そう言って、ラルフと別れた。





チャプンッ―――――

「ふぅ………。」

離宮の大きな湯船につかり、思わず声が上がる。

部屋も凄ければバスルームも凄いのね。

シェイリーンはそう思って周囲を見渡す。

バスルームの広さは一家族が一度に入ってもおかしくないような広さ。

床は大理石で敷き詰められ、王宮のバスルームと変わりない程だ。

白く濁った湯にはこれでもかと散りばめられた赤い薔薇の花びら。