偽りの結婚(番外編)




そして、極めつけが、離宮で最も広い部屋。

エントランスを進めば、その部屋への扉が構えている。



精緻細工のされたその扉を開けば――――


「っ…………。」

口元に手を当て、目の前の光景に息を飲む。

横でラルフが、微笑ましい目線を向けるが、それに気付かぬほど、目の前の光景に目を奪われていた。



部屋は横に縦に数十メートルはあろう程広く。

天井は吹き抜けになっており、高さ10メートルはありそう。

そして、一番目を引いたのは、目の前の一面ガラス張りの窓。

その向こうには、星々が煌めく夜空の世界。

この離宮は高台となっているらしく、視界を遮るものは何もない。

窓の外の景色は地平線と夜空だけだった。





「きれい………。」


ポツリと呟く声は、離宮の外観を前にした時よりも感嘆に溢れていた。



「喜んでくれたようで良かったよ。」


隣でラルフが微笑む。