日も沈んだ冬の夕方。
早々に太陽も眠りにつき、月夜が支配する世界に変わる。
今、シェイリーンとラルフは離宮の前に立っていた。
早めに王宮を出たというのに、日が沈むほどに到着が遅くなったのは、各地の名所を回っていたから。
こんな時でもない限り、ゆっくり二人で回れる事がないというラルフの言葉から、こんなに暗くなる程に離宮へ到着する時間が遅れてしまったのだ。
そして、やっとのことで辿り着いた離宮を目の前にする二人。
「すごい………。」
離宮を目の前にして、感嘆の溜息を零す。
外観は白亜に染まった城のよう。
まるで、モルト王国のミニチュア版の様な離宮に心が躍る。
「ここは離宮の中でも一番美しい屋敷だと言われているからね。中に入ったらもっとすごいぞ。」
ラルフは私が驚いていることに、嬉しそうな顔をして離宮へと招く。
キィー……
重厚な造りの扉を開けば、ここは王宮かと見まごう程の豪華なエントランスが迎える。
数か月に1回立ち寄るか立ち寄らないかというこの離宮。
しかし、隅から隅まで手入れが行き届いており、花瓶に飾られた花々も瑞々しくいけられていた。
すでに明りがついているのは、先に来た使用人たちが準備をしていたからだろう。

