まぁ、それは全て間違っているんだが。
シェイリーンが、後ろめたさや引け目を感じる事は一切ない。
なぜなら、自分が選んだ女性だから。
唯一愛を捧げられる人、それがシェイリーンなのだから。
そう、何度も囁いて、言い聞かせてきた。
それでも尚、腕の中で不安げに瞳を揺らしているシェイリーンを愛おしげな瞳で見つめ・・・
「見せつけておけば良い。」
ラルフは、シェイリーンを抱きしめる腕を強めて答える。
今度こそ素直に抱きしめられたシェイリーンは、ただコクリと頷く。
「良い子だ。さぁ、行こうか。」
シェイリーンが素直に頷いたことに満足したラルフは、蕩けるような笑みを浮かべ、シェイリーンをエスコートする。
不安げな表情を浮かべるシェイリーンには温かな瞳で。
ジロジロとこちらを見る令嬢たちには冷ややかな目で一瞥しながら・・・
冷たい瞳で睨めば、令嬢たちは焦ったように顔をそむけて、そそくさと王宮への足を速める。
厭味を言う口は減らないまま。

