偽りの結婚(番外編)




「はぁ…やっと終わったよ。」

入ってくるなりそう言ったラルフの深いブルーの瞳は、少しくすんでいた。

溜息交じりなのは、公務で疲れているからだろう。


「ラルフ様。」

「早かったな。」

モニカとロイドがラルフに声を掛ける。

ラルフの帰りは、本当に早かった。

モニカとロイドが言ったように、出発時間が1時間繰り上がりそうだ。



「あぁ。話もついたというのに、世間話を折り込もうとするものだから、早々にお帰りいただいたよ。」

フッと笑うラルフの笑みは、どこか黒かった。

きっと、“早々に”帰られるような何かを仕掛けたのだろう。



しかし…予定よりも早くラルフに会えたというのに、今は居た堪れない。


「ラルフ……。」

遠慮がちに声を掛ければ、ラルフがゆっくりとこちらへ近付く。


そして……

ギュッ――――

一瞬で腕の中に引き込まれる。