偽りの結婚(番外編)




しかし、シェイリーンのこの発言。


自分が選んだドレスだから嬉しい?

天然だとしたら性質が悪いな。


いや、しかし・・・

純粋なシェイリーンの事だ、恐らく計算も何もない言葉だったんだろう。


だからこそ、嬉しい。

計算も、裏もない純粋な言葉が。



そっと距離を取れば、ラルフ・・どうしたの?と、見上げてくる瞳は上目遣いで。


「シェイリーン、頼むからそんな顔をしないでくれ。」

「・・・・・?」

掠れた声で呟くラルフに、シェイリーンは頭の上で疑問符を浮かべている様子。


やはり、わかっていないか・・・



心の中で、ふっと笑い、シェイリーンの耳に顔を寄せ囁く。

「そんなに煽らないでくれ、と言っているんだ。」

「っ・・・・!」

鼓膜に浸透するような、低く甘い声で囁かれ、シェイリーンの身体がビクッと震えた。