偽りの結婚(番外編)




「だって、ラルフが選んでくれたんだもの。」

シェイリーンがふわりと微笑んだ。


「っ・・・!」

瞬間、王宮に向かうラルフの足がピタッと止まる。


「えっ・・・きゃッ!」

ラルフの歩みが止まったことで、シェイリーンはバランスを失いかけるが、それすら許さないかのように力強い腕に引かれる。



そして、ラルフは戸惑うシェイリーンを抱き込む。

ラ、ラルフッと焦っているシェイリーンの声は綺麗に無視するラルフ。


だから、それは反則だろう・・・!


シェイリーンを抱きしめ、赤くなった顔を隠す。

シェイリーンの笑顔は心臓に悪い。

偽りの関係だった頃は、あまり笑顔を見せてくれることはなく。

笑っても、どちらかと言うと悲しそうな笑みしか見せてくれなかった。

だから、今見せた大輪の花が咲く方な笑顔を見せられると、心臓が早鐘を打ち始める。

簡単にいえば、シェイリーンの笑顔に免疫がないのだ。