キャメルのチェンジエッジ。キャノンボールスピンに移行し、即座に加速しながらI字スピンへ。
細い軸でキュルキュルと素早い回転。タクの代名詞ともいえる得意なポジション。
チェンジエッジ、I字スピン、I字で八回転、三つの基本姿勢。最後まで気を抜かずにレベルを稼ぐ。
―――完璧だ。
フィニッシュのポーズを取ると、会場はスタンディングオベーション。
拍手が巻き起こり、奴も小さくガッツポーズを作っている。
タクのスケーティングが存分に生かされたプログラムだった。初披露だったが、その出来は観客達が物語っている。
贔屓目もあるだろうが、タクの演技が一番良かった。
技術、表現、技の質。全てにおいて勝っていたと思う。
けれど、本人が満足そうにしているが、俺は素直に喜べない。


