それでも勢いよく駆け出して、客席に軽く手を振っている。
コールされてから一分以内に演技をしなければならないが、朝飛は時間をたっぷり使って所定の位置に付く。
動きを止めれば、それが始まりの合図。
フェリックス・メンデルスゾーン作曲。ヴァイオリン協奏曲第1楽章。
SPとは打って変わって王道クラシック。多くのスケーター御用達の名曲。
力強いヴォインオリンの音色が響き渡り、朝飛のFPが始まった。
最初に予定しているジャンプは四回転。このジャンプで全てが決まる。
コーナーで一気に加速。スピードを生かした演技をする選手だけあって、颯爽と優雅に舞う。
直前に滑った大介もかなりのスピードを出す選手だが、全く見劣りしない。それどころかトップスピードは朝飛の方が上かも知れない。
ジャンプの態勢に入る。
フォアからバックにターン。右足アウトエッジに乗って、左足のトウを身体の後ろに突き立て跳び上がる。


