だけどこのスピンは軸もコントロールもしっかりしていて綺麗だった。欲を言えばもう少し回転速度があれば、見栄えもレベルも取れていたはずだ。
曲調が変わる。
酒を飲むジェスチャー。口元を袖で乱暴に拭うと、大介の得意要素であり、このプログラム最大の見せ場であるサーキュラーステップが始まる。
その名も酔っ払いステップ。
陽気な音楽に合わせ、大介がステップを刻む。
わざと身体の軸を外して、上半身はフラフラ。足元もおぼつかない。
だけどディープエッジで、上半身と下半身の動きをしっかりと制御している。
不規則な上半身の動き、しかもエッジを深く保ちながら且つ軸を外してさらに安定感を欠く状況だというのに、複雑なターンとステップを組み合わせて完璧に行っている。
しかもレベル取りの要素も確実にこなしている。
バランス感覚はもちろん、軽いフットワークと巧みなエッジワークがなければこのステップを踏むことはできない。
身体の軸を外したステップは、大塚さんなら少し練習すれば出来るだろう。もしかしたら俺も出来るかも知れない。


