ルール改正によって四回転ジャンプを取り入れる選手が急増したが、コンスタンスに二つの四回転を跳べる選手は現在では大介ただ一人だ。
しかもあのクオリティでさらりと決める。次元を超えた身体能力の高さをマジマジと見せつける。
SPも合わせれば三回成功。これだけの実力を持っていながら世界選手権のタイトルを持っていないのは、不自然なぐらいだ。
もっとも、その理由は試合云々の話ではなく、毎年この時期になるとなぜかインフルエンザにかかってしまい、世界選手権に出場できなかったからだけど。
今年は三度目の正直になったわけだ。
静かな曲調に合わせ、淡々とジャンプをこなしていく大介。
前半最後のジャンプである3Aも軽々と決めると、フライングシットスピンへ。
デスドロップからのパンケーキスピン。ポジションを一旦解いて、フリーレッグを軸足の膝裏に差し込む変則シットへ移行。
大介に弱点があるとすれば、唯一スピンが苦手なことだ。
身体が普通の選手に比べても硬いせいで、スピンのポジションが制限される。
無理やり軟体ポジションに持っていこうとすれば、軸がぶれてトラベリングが起こる。まさに悪循環。


