「だから言ったろ。恐いし緊張もするって。けど、今はワクワクしてる。楽しみの方が勝ってるかな?
新しい衣装で新しいプログラムを、初めて人前で披露するんだ。今すぐにでも滑りたい」
「……そっか」
「それにさ、お前の魅力はその童顔スマイルなんだから、恐い顔してたらファンが一気に離れるぞ?」
「なっ!? ど、童顔じゃないし! 童顔はタク兄だよ!」
「俺?」
「メアリーもキャロルも『アサヒのお兄さんは中学生にしか見えないわ』って言ってたもん!」
そりゃあ、欧米人から見たら日本人は皆童顔に見えるだろうよ……。
でも良かった。大声で反論出来るぐらいの気持ちの余裕は生まれたみたいだ。
きっと朝飛のファンも、今の朝飛の演技を観たいはずだ。
伸び伸びとした明るい前向きな滑り。それは朝飛にしか滑ることが出来ない魅力だ。
表彰台に上らなくていい。五輪に行けなくていい。


