氷の女王に誓約を


拍手が起こる。リンクの中では三連続コンビネーションジャンプが行われていた。


途中からだからわからないけど、よく身体が動いている。


羽生さんの後なのに強心臓だな。羨ましい限りだ。


「……タク兄はさ、恐くないの?」


音響と歓声による喧騒によって朝飛の声は消えてしまいそうだったが、しっかりと俺の耳には届いた。


「誰だって恐いさ。足は竦むし、扱けたら頭の中は真っ白になる」


俺は言う。


「フィギュアって残酷だよな。完全な個人競技で、全ての視線が自分一人に一斉に注がれる。しかも360度全包囲から。
下手すりゃ転んで、格好悪くて恥ずかしい姿を世界中に配信されて晒されるんだ。たまったもんじゃないよな」


自分で言ってて笑えてきた。


個人競技は多々あれで、醜態を晒す危険性がある競技はフィギュアスケートぐらいだろう。


人前で転ぶという行為は、それだけで恥ずかしいこと。おまけに得点も引かれて良いことなんてなにもない。