だけど祖父母のことが口に出て、俺は言葉を失ってしまった。
俺も朝飛も、父方母方の祖父母に会ったことは一度もない。
会ったことがないというのは、すでに他界して物理的に会えなかったというわけではない。
違う意味で会えないし、向こうからも会おうとはしなかった。
父さんも母さんも祖父母のことを語ろうとはしなかった。
ただ一言「おじいちゃんもおばあちゃんも凄く遠いところにいるのよ」という言葉を鵜呑みにしていて、そういうことなんだろうと納得していたが、小学校高学年の時に“家庭の事情”というのを偶然知ってしまった。
母さんの古くからの友人が家に遊びに来た時に、朝飛と共に二人の会話を聞いてしまったのだ。
父さんと母さんは、どうやら駆け落ちをしたらしい。
どういった事情で駆け落ちをしたのかは聞けなかったが、それ以来絶縁状態だという。
だが成長した今となっては、その理由もある程度は想像がつく。
俺は現在19。それに対して父さんは今年で40で、母さんはその一つ下。


